臨床心理教育研究センター(心理教育相談室)

ごあいさつ

臨床心理教育研究センターは,2020年4月,「心理支援の高度化と地域支援の活性化のためのプラットフォーム構築」 プロジェクトを推進するべく,福祉健康科学研究科附属のセンターとして設置されました.初代センター長の渡辺亘教授より引き継ぎ,2022年4月より2代目センター長を務めております.

臨床心理教育研究センターでは,福祉健康科学研究科で臨床心理学を専門とする教員や大学院生が中心となって,心理教育相談室で行う臨床心理学に関する高度な教育・研究・ 地域支援をさらに発展させるとともに,心の問題に関する現代的課題に積極的に取り組むことによって,地域の心理支援を多方面から牽引し,地域共生社会の実現に貢献する基幹となっていくことを目的としています.

臨床心理教育研究センター長  河野 伸子

心理支援の高度化と地域支援の活性化のためのプラットフォーム構築

目的

既存の『心理教育相談室』を拡充し,新たに「5領域の架橋」と「地域への参画」の視点を加え,地域貢献・大学院教育・研究・地域に向けた発信を一体的に行うことによって,心理支援を高度化するとともに,地域支援を活性化するためのプラットフォームを構築する.

複雑化する課題と心理専門職に求められる資質

(1)複雑化する心の問題
虐待,ひきこもり,発達障害等,様々な「複合的な課題」
【課題】多領域の連携が一層重要に
(2)心理支援に求められる高度な資質能力
心理職国家資格「公認心理師」誕生(平成31年~)
【課題】養成・研修システムの構築
今日のニーズや動向を踏まえて,幅広く
【課題】地域を視野にいれた支援
地域への参画を強化
【課題】支援・教育・研究における5領域の接続
5領域を架橋した支援・教育・研究を展開

心理専門職の職能の再定義と機能強化が必要

心理教育相談室の機能と実績

「心理教育相談室」の設置(平成16年~)

(1)心理教育相談室の3機能
  • 相談機能:心理相談による地域貢献
  • 教育機能:心理専門職の養成
  • 研究機能:心理相談に関する研究
(2)心理教育相談室における相談活動実績
  • 年間相談申込件数70~120件
  • 年間延べ相談回数2000~2800回
  • 発達障害,学校の危機介入等に関する研究

心理専門職の職能の再定義と機能強化が必要

臨床心理教育研究センター

  • 支援実践
    • 幅広い年齢層や問題への支援
    • 複合的な課題に対する領域横断的・総合的な心理支援
    • アセスメントや心理面接の成果を活用した有効な連携の実践
    • 関係者・関係機関への支援と地域における支援のサポート
  • 調査・研究
    • 今日的な心理的課題の理解と支援に関する開発・検証
    • 有効な連携と地域支援に関する実践的研究
    • 5領域を架橋した心理支援の展開に関するモデル構築
    • 5領域を架橋する心理専門職の職能発達に関する実証的研究
  • 養成
    • 幅広い年齢層や複合的課題に対する総合的な心理支援の資質・能力の涵養
    • アセスメントや心理面接を適切に実施し.多様な連携を推進する資質・能力の涵養
    • 大学院における「5領域の架橋」と「地域支援」を実践できる心理専門の職養成とそのためのシステムの開発
  • 研修・啓発
    • 心理専門職に対する卒後教育と5領域を架橋する支援力の担保
    • 自治体・専門機関・地域NPOに対する研修のマネジメント・コーディネート
    • 民生委員・児童委員など地域の支援者に対する知見提供や教育,地域住民への啓発
    • 地域の支援者ネットワークの形成

事業

臨床心理教育センターでは,主に4つの事業を進めます.

1.地域貢献:総合的・多角的な支援の実践

心理支援における5領域(医療保健,福祉,教育,産業労働,司法犯罪)の架橋及び地域支援という視点を重視することによって,より総合的・多角的な支援を推進し,地域課題の解決に取り組みます.
例えば,虐待,ひきこもり,発達障害等の「複合的な課題」に対して,心理教育相談室における心理支援を基盤としつつ,5領域を架橋した支援を進め,必要かつ有効な連携・協働を活性化させることによって,総合的・多角的な支援を推進します.さらに,支援を必要とする方個人への働きかけのみならず,地域・コミュニティへの介入や,地域において支援を行う様々な人に対して専門的立場から支援のサポートを行うことで,一層厚みのある支援を展開することを目指します.

2.大学院教育:高度な専門性の養成

5領域の架橋を意図した対応,複合的課題への対応,地域・コミュニティへの支援を視野にいれた対応など,現代的テーマに取り組むことのできる心理専門職(公認心理師,臨床心理士)の養成を行います.
具体的には,様々な問題に対する心理的アセスメントや支援方針の立案,5領域の接続と連携の進め方,個人支援と地域支援の組み合わせ方など,総合的・多角的な支援のための専門性を養成します. このような取組により,心理専門職養成に関する新しいモデルの構築・発信を進めます.

3.研究:支援をめぐる調査・研究

一つひとつの心理支援事例を掘り下げる研究のみならず,5領域の架橋に基づく支援モデルの開発,複合的な課題に対する心理支援技法の開発,地域・コミュニティへの参画を踏まえた支援技法の開発,それらの支援に関する職能発達に関する研究などを進めます.

4.発信:専門職と地域住民への研修・啓発

心理支援に関する情報の集積と発信,研修や啓発に関する地域の拠点として機能します. 例えば,地域の心理専門職を対象とした卒後教育を行い,5領域を架橋する支援力と地域・コミュニティを視野に入れた支援力のバワーアップを後押しします.また,心理支援以外の様々な支援関係者や地域住民に対しても研修や啓発を進め,地域における支え合いや,地域の支援者コミュニティの形成をサポートします.

心理教育相談室

教員や大学院生が中心となって,心の問題に関する現代的課題に積極的に取り組んでいます.

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