児玉　慶司さんのインタビュー

高校生の頃，サッカーの練習中の怪我と別の病気のタイミングが重なり部活を辞めることになりました．その頃の加療中に親身になってくれたのが理学療法士でした．こんな仕事があるのだと感じ興味をもつようになりました．その後は今まで気にとめていなかった職業見学の機会などに意識がむき，実際に現場に伺ったりして進路を決めました．

リハビリテーション科のある病院には急性期，回復期，生活期と心身の状態や治療方針によって役割分担が成されていています．私は急性期病院に勤務していますので，手術目的で入院された方や発症後早期の方の理学療法を主な業務としています．入院中は心身の状態が不安定な時期となるため運動することに対してリスクがあります．そういったリスクを管理しながら運動を行い，家庭復帰や社会復帰のお手伝いをするのが主な業務になります．また，臨床業務の中で感じた疑問を研究テーマにしてデータを収集し，学会発表するなどの学術活動も大事な仕事の一つです．さらに超高齢化社会にむけた理学療法士の専門性を活かした需要も高まっており，地域・社会活動として行政の介護・健康増進事業のお手伝いをさせて頂くこともあります．

やりがいを感じるときは臨床現場では担当の方や同僚の担当している方達の動きが良くなっていく様子を目の当たりにできる時です．また，当院から転院し，加療後に退院された方がリハビリ室に良くなった姿をみせにきてくれた時も嬉しく感じます．学術活動においては第三者に伝わるようにまとめる作業は大変ですが，学会などで発表した時の達成感や意見を頂いて新たな視点や展望に気づかされた時には自分が成長できる機会としてやりがいを感じる事ができます．

理学療法士に限らず相手のいる仕事は大変なこともあると思います．ただ，同時にやりがいもある仕事と感じています．この仕事に興味をもった経緯は怪我がきっかけで，つらい判断が重なったため前向きに考えることは難しかったです．しかし，今となってはあの出来事が自分にとっての転機であったと感じています．なにが好転するかわからないものです．多感な時期で様々な出来事があると思います．良いことやうまくいかないことにも向き合って将来に活かしてほしいと思います．